在宅勤務などテレワークを妨げる原因にもなった紙の請求書問題を解決する「WEB請求書」とはどの様なサービスなのか?導入する際の注意点などを福岡県・佐賀県・長崎県・熊本県・大分県・宮崎県・鹿児島県の企業様向けにご紹介致します。
従来、紙で送付していた請求書をExcelやWordで作成し、作成したデータをPDFで保存して取引先などにメールで送付する請求書をWEB請求書と言います。
紙の請求書を送付する場合、請求書の印刷・三つ折り・封入・発送と膨大な作業とコストがかかります。WEB請求書であればパソコンの画面上で完結することができるので請求書の印刷・封入・発送が不要になり、請求書業務の効率化・コスト削減が可能です。
WEB請求書の導入を検討しているものの、法律的に問題ないの?紙の請求書と変わってしまうことがあるのではないか?と言った様々な懸念があると思います。結論からご説明するとWEB請求書は法律上、紙で送付した請求書と有効性に違いはありません。ちなみに請求書以外に見積書・支払明細書・納品書・領収書などの帳票の電子発行も可能です。
請求書などには押印がされていることが一般的ですが、法律上の義務ではありません。しかし、押印文化が定着しているので会社内で社印(角印)の押印がない書類は受け付けないといった規定がされていることもあります。その為、WEB請求書にも社印(角印)の押印の画像を張り付けたり、電子印鑑を使って押印をしておくと取引先の安心感に繋がります。
WEB請求書を導入する場合、いくつかの種類がありますのでご紹介致します。
冒頭でも簡単にご紹介したExcelやWordで請求書を作成し、PDF保存したデータをメールに添付して送付する方法です。システム導入をする必要がないので手軽にWEB請求書を導入することができます。
一方、請求書の作成やメール添付・送信など作業自体は残るので注意が必要です。
WEB請求書システムを導入後、WEB請求書システムへ作成した請求書をアップロードして取引先などにダウンロードしてもらう方式です。取引先などにはメールアドレスとパスワードにてシステムにログインしてもらうことで、Web経由で書類をダウンロードしてもらえます。WEB請求書の発行元はシステムへ作成した請求書データをアップロードするだけで取引先などへ届けることができるので、メールに添付して毎回送付する形式に比べて誤送信のリスクを軽減できます。
WEB請求書システム内で請求書の作成から行えるサービスもあります。システム内へ取引先などの情報を入れておくことで入力の手間が省けます。見積書なども作成できるので、見積書データを活用して簡単に請求書へ変換したりすることもできます。
請求書については発行して終わりではなく受け取った企業が保存しておく義務があります。請求書を含む証憑書類の保存期間は7年間と定められているので仮に取引先がWEB請求書を導入しても通常は自社で紙に印刷して保存する必要がありす。
この面倒な紙の請求書保存を電子データ保存でも可能と改正された法律に「電子帳簿保存法」があります。電子データ保存を利用したい場合は、電子データ保存を開始したい日、開始を予定している日の3ヵ月前までに、所轄の税務署に「国税関係帳簿の電磁的記録による保存等の承認申請書」と添付書類(使用する会計システムの概要を示す書類など)を提出して申請をします。(※2022年1月1日から施行される改正電子帳簿保存法では事前申請が不要になります。参考:国税庁「電子帳簿保存法取扱通達」)
また、WEB請求書などの電子取引による電子データ保存は、
が要件として定められています。
真実性の確保とは、WEB請求書などの電子書類ファイルがいつ受け渡しされたものかがわかり、後で変更されたりしていない(変更してもそれがわかる)ことです。具体的には下記の4つのうちいずれかを満たす必要があります。
タイムスタンプとは、
ある時刻にその電子データが存在していたことと、それ以降改ざんされていないことを証明する技術。タイムスタンプに記載されている情報とオリジナルの電子データから得られる情報を比較することで、タイムスタンプの付された時刻から改ざんされていないことを確実かつ簡単に確認することができます。
総務省「国民のための情報セキュリティサイト」
タイムスタンプなら何でも良いというわけではなく、「一般財団法人 日本データ通信協会が認定するタイムスタンプ」である認定タイムスタンプが必要になります。タイムスタンプを利用したい場合、発行側・受領側どちらかにタイムスタンプを付与できるシステム導入が必要になります。
タイムスタンプ以外では改竄防止等のための事務処理規程を作成し運用する方法しかありません。改竄防止等のための事務処理規程は請求書などのデータを受け取った際に、そのデータをどの様な社内フローで回して、変更や削除を行なう際はどの様な手順で実行し、管理するのか?と言った一連の処理について規程するものです。作成する場合は下記の国税庁が提供しているひな形を活用して、社内業務に照らし合わせながら作成すると良いでしょう。
関係書類の備え付けとは、利用するシステム・サービスの利用方法が誰にでも分かるよう、その概要を記載した書類(マニュアル)を備え付けておくことです。
見読性の確保とは、納税地や事業所・その他準ずる場所(税務調査を受ける場所)で、ディスプレイやプリンターを使ってWEB請求書などの電子データ内容が速やかに画面または書面で確認できるようにしておくことです。
検索性の確保とは、WEB請求書など電子取引の履歴から税務調査対象年度等特定の範囲にデータを絞り込んで検索できるようにすることです。具体的には「日付」「取引金額」「取引先名」が一目でわかるように「日付_取引先_金額.pdf」のように、一定の命名規則で保存していくことと、日付と金額については範囲指定で検索(絞り込み)ができる必要があります。さらに2つの要素を組み合わせて検索もできるように整理しておくことが必要です。ファイルやフォルダ分け以外ではすべての情報をExcelに記載して管理することも可能です。
この様に電子化保存は様々な条件があるので実施する際は注意して行ってください。
電子化されたデータを受領した場合は先ほどご紹介した要件を満たせばそのまま保存することができます。また、自社で発行する請求書もシステム導入などにより環境を整えることで電子化することができます。一方、自社がWEB請求書の環境を整えても取引先などが紙で発行する場合ももちろんあります。
紙で受領した請求書をそのまま紙で保存しても法律上の問題は全くありませんが、紙の請求書を保管する場所の問題や管理の手間があります。紙の請求書の保管・管理を簡素化するサービスとして「電子化代行サービス」が様々な企業から提供されています。電子化代行サービスではユーザーに代わり、受領した請求書をPDF化してくれます。請求書原本の保管も可能なので紙の請求書の保管・管理の手間を大幅に省くことができます。
WEB請求書は上手に活用すれば、ペーパーレス化により効率よく請求書業務を行うことができます。効率化されるのは自社だけでなく取引先・顧客も含めてです。電子帳簿保存法が改正されるこの機会に自社の請求書発行・受領体制について検討してみてはいかがでしょうか?
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